プロジェクトストーリー
互いの知恵を重ね、
前例なきものづくりへ。
ホシザキ初の「測定孔」、前例なき開発の舞台裏。
2022年から動き出した、薬用保冷庫・薬用ショーケースの開発プロジェクト。病院や薬局で薬品の品質を守るため、一般的な厨房製品とは比べものにならないほどシビアな温度管理が求められる製品だ。なかでも最大のテーマとなったのが、扉を開けずに庫内の温度を測る「測定孔」。それはホシザキにとって前例のない構造の実現だった。開発設計と生産技術、立場の異なる二人が、いかにして「前例なき穴」を形にしたのか。その舞台裏を語ってもらった。
参加メンバー
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O.Y
生産技術
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S.Y
開発設計
PRODUCT
このプロジェクトの製品
薬用保冷庫は、薬品の保管に適した2〜8℃を安定的に維持します。庫内が高温・低温になった際にはブザーで警報を発し、扉の閉め忘れも警報でお知らせ。カギ付きの扉ロックにより、安全な保管を実現します。加えて、移動を容易にするキャスター、視認性を高めるLED照明、収納物の落下を防ぐ棚網など、使う人への配慮を随所に備えています。食の現場で磨いた「冷やす技術」を、医療の現場へ。その挑戦が、この一台に込められています。
今回のプロジェクトで直面した最大の難所は何でしたか? 開発設計と生産技術、それぞれの立場から、どのように課題へ向き合ったのかを教えてください。
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薬用保冷庫・ショーケースは、薬品の品質を守るために、一般的な厨房製品よりもはるかにシビアな温度管理が求められます。その中で最も苦労したのが「測定孔」でした。扉を開けずに庫内の温度を測る必要があり、そのセンサーを通すための穴です。薬用製品には欠かせない機構なので、設計の立場からすれば、これは絶対に無くせない。けれど、ただ穴を開ければいいという単純な話ではありませんでした。
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他のパーツは既存製品の応用でなんとかなるんです。でも、あの測定孔だけは別物でしたね。最初に相談を受けたとき、正直「これは厄介だぞ」と思ったのを覚えています(笑)。ボディの側面に穴を開ける必要があるのですが、その構造がとにかく手間がかかる。安定して量産ができ、なおかつ作業者が無理なく組み立てられる形にしなければ、製品としては成立しないんです。
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開発設計の「必要不可欠」と、生産技術の「量産で成立させる」。どちらも譲れないところからのスタートでした。しかも、ホシザキとして前例のない初めての挑戦だったので、お手本がない。そこが一番の難所だったと思います。
開発設計の「こうしたい」という思想と、生産技術の「こうつくる」という現実。両者が最も上手く噛み合ったと感じた具体的なエピソードを教えてください。
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とにかく頻繁にやり取りしました。月1回の定例打ち合わせだけでは到底足りなくて、メールや電話、それに設計のほうから実物を持って現場まで足を運んでくれて、目の前のモノを見ながら「ここをこう変えたらどうか」と話し合う。その繰り返しでした。私は常に「どうすれば成立するか」を考えて、代替案をこちらからぶつけるようにしていました。
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図面の中ではきれいに収まっていても、工場で実物を組むとうまくいかないことが本当に多いんです。私は学生時代、まったくものづくりに携わってこなかったので、最初は既存製品のつくり方さえ分からない状態でした。でも、ホシザキは社内に工場があるおかげで、実際の組み立て工程や作業スペースを自分の目で見られる。そこで気づいたことを設計に持ち帰る、という流れが何度もありました。
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現場で出た「うまくいかない」を生産技術でまとめて、設計と一緒に協議して解いていく。それが私たちの役割ですからね。
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工場試作では生産技術の方だけでなく、実際に手を動かす作業者の方からも意見をいただけます。お互いの譲れないポイントを尊重しながら案を擦り合わせ、試作を重ねて……。粘り強く続けた末に、ようやく量産可能な形として測定孔を成立させられた。あの瞬間は、設計の思想と現場の知恵がぴたりと噛み合った実感がありました。
職種を超えて協働する中で再認識した、ホシザキのものづくりに根付く「譲れないこだわり」とは何だと思いますか?
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ホシザキには、部署ごとの垣根がほとんどありません。設計が製造に入り込んで一緒に作業することもあるし、製造や生産技術もどんどん設計へ意見を出す。設計と製造が良い関係でいるからこそ、良い製品ができる。これは長くやってきて確信しています。若い設計者でも、製品の仕様や機能をゼロから一生懸命に勉強していて、私たちが組立性や生産性の観点から指摘しても、きちんと機能面から筋道を立てて答えてくれる。そういうプロ意識は、本当に尊敬しています。
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入社して間もない研修で言われた「設計者にとって、商品を使うお客様だけでなく、開発に関わるすべての人がお客様だ」という言葉が、今も一番心に残っています。一番身近なお客様である現場の作業者の方と、すぐに話せる距離感。これはホシザキの大きな強みだと思います。生産技術や現場の皆さんは、自分の仕事に誇りを持ちながら、私のような未熟な人間の声にも真摯に耳を傾けてくれる。他人事にせず寄り添ってくれるその姿勢には、どこか「家族」のような安心感がありますね。
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いやいや(笑)。彼女はとにかく明るくて前向きで、一緒に仕事をしていて本当に楽しかったですよ。そういう人柄に、現場も自然と力を貸したくなるんです。
このプロジェクトを経て、今後どのようなものづくりに挑んでいきたいですか? 未来の技術者(学生)へのメッセージとあわせてお願いします。
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測定孔は、設計と成形の両面で課題が山積みで、「これほど苦労したものはない」と思うほどでした。でも、関わる部署が多く、いろいろな視点で「良い製品とは何か」を考えるからこそ、試行錯誤の末に製品化できたときの達成感は本当に大きい。その過程で自分の成長を肌で感じられることが、この仕事の醍醐味だと思います。一番身近なお客様とすぐに話せるこの環境で、これからも誰かの役に立つ製品を生み出していきたいです。
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ひとつの製品を世に送り出すには、設計、生産技術、製造……たくさんの部署が力を合わせる必要があります。楽しさも苦労もありますが、その分やりがいは大きい。新しいものが立ち上がって世の中に出ていく瞬間は、何度経験してもうれしいものです。今回は苦労した分、達成感もひとしおでした。学生の皆さんには、職種の垣根を越えて「一緒に良いものをつくろう」と言い合える、この環境の面白さを、ぜひ知ってほしいですね。