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アニサキス対策の冷凍や加熱は何℃が正解?品質を保つ解凍方法まで詳しく解説
2026.05.07- 冷凍
- アニサキス対策
- 真空マイクロ波解凍機
- ブラストチラー
- ショックフリーザー
- 液体急速凍結機
- 食中毒
- 加熱
飲食店や鮮魚店、スーパーなど、生魚を扱う事業者が気を付けなければならないのが、アニサキスによる食中毒です。
食中毒事故は、寄生虫を原因とするものが最も多く、2024年には355件起きています。
そのうちアニサキスによる食中毒は330件と、9割以上を占めているのが現状です。
アニサキスが生きたまま残っている魚を食べると、体調に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、冷凍や加熱などのアニサキス対策は生魚を扱う際には欠かせません。

2024年食中毒発生件数(病因物質別) 寄生虫の種類別食中毒発生件数
この記事では、
- アニサキスの基礎知識
- 手作業・冷凍・加熱の対策
- アニサキスを確実に死滅させる温度と時間
- 冷凍による品質劣化の理由
- 品質を保つための解凍方法
- 業務用解凍機という解決策
まで、実務に役立つ形で詳しくご紹介します。
参考:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
アニサキス対策が必要な理由とは?

まずは、アニサキス対策が必要な理由について確認しましょう。
ここでは、アニサキスの特徴やアニサキス症の具体的な症状、寄生しやすい魚介類について見ていきます。
アニサキスの特徴
アニサキス(アニサキス線虫)は、線虫類に属する寄生虫の一種です。
線虫という分類から想像できるように、細長い体をしています。
線虫類の中では大きく、幅0.5~1mm程度、長さ20~30mm程度の、白い糸のような外見をしているのが特徴です。

アニサキス画像:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
アニサキスは、卵から幼虫までの間に、魚介類の多くが好むオキアミといったプランクトンに捕食されることで宿主に寄生します。
その後、プランクトンがサバやサンマ、マグロやカツオなど、さまざまな魚介類に捕食されることで、私たちが口にする魚に寄生していく仕組みです。
アニサキスが生きたままの魚を食べると、食中毒である「アニサキス症」を発症する可能性があります。
参考:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
アニサキス症の部位別の症状
アニサキス症の症状は主に痛みや吐き気ですが、アニサキスが刺入した部位によって、名称や症状の程度などが異なります。
- 胃アニサキス症(急性胃アニサキス症)
- 腸アニサキス症(急性腸アニサキス症)
- 胃穿孔
- 腸穿孔
- 消化管外アニサキス症
胃アニサキス症は、胃に達したアニサキスが胃壁に噛みつくことで現れる症状です。
食事から数時間~数十時間で発症し、腹部に違和感や不快感、激しい痛みが走り、痛みに胃が反応して、吐き気や嘔吐などが現れます。
腸アニサキス症は、アニサキスが腸に達し、腸壁に噛みつくことで現れる症状です。
食事から数十時間から数日後に発症し、下腹部に不快感や鋭い痛み、吐き気や嘔吐などが現れることがあります。
場合によっては、腸の粘膜が大きく腫れて腸内がふさがる、腸閉塞のような重篤な症状が出ることがあります。
アニサキスが、胃壁や腸壁に穴を開ければ胃穿孔や腸穿孔、さらに胃壁や腸壁を食い破って消化管外に出れば、消化管外アニサキス症です。
腹腔に進入した場合は、腹腔で炎症が起きる腹膜炎となり、炎症が全身に及ぶような重篤な合併症を引き起こすことがあります。
また、アニサキス症以外にも、気を付けたいのが、アニサキスアレルギーです。
アニサキスアレルギーは、アニサキスを抗原とし、個人の体質によって現れる症状です。
蕁麻疹やかゆみ、腹痛などの他、アレルギー反応が重篤な方では、血圧低下や意識障害、呼吸困難といったアナフィラキシーショックが起こり得ます。
アニサキスアレルギーは、アニサキスの生死に関わらず、アニサキスのたんぱく質により起こり得ます。そのため、アレルギー反応が重篤な方ほど、魚介類を食べる際には注意が必要です。
アニサキスは人の体内で長く生きられませんが、それでも死滅までに1週間程度を要します。
放置していると、腸閉塞や腹膜炎など、重篤な症状を引き起こす可能性があるため、内視鏡によるアニサキスの摘出や、抗アレルギー剤の内服などをおこなう必要があります。
参考:一般社団法人 アニサキスアレルギー協会「第2回アニサキスアレルギーサミット まとめ」
アニサキスが寄生しやすい魚介類
アニサキスは、魚介類に幅広く寄生しています。
その中で、特に気を付けなければならないのが、海産の魚介類です。
気を付けたい魚介類の例
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アジ | サバ | イワシ | サンマ | イナダ |
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ヒラメ | マグロ | カツオ | サケ | イカ |
アニサキスは、最終的な宿主の大型海洋哺乳類の消化管を目指し、プランクトンを経由して多くの魚介類に寄生します。
そのため、海産の魚介類であれば、まずアニサキスの寄生を疑う必要があるのです。
現在は、技術の発達によって、魚介類を加熱せずに生で食べる機会が増えています。
特に、以前は加熱して食べるのが主流だったサンマやサバ、ニシンといった青魚を生で食べる場合は、アニサキス対策の徹底が大切です。
なお、川魚や養殖の場合も、アニサキスが寄生している可能性はゼロではありません。
また、アニサキス以外の寄生虫が寄生している場合もあるため、注意してください。
アニサキスの予防・対策法とは?

では、アニサキス症を予防するためには、どのような対策方法があるでしょうか。
ここでは、具体的なアニサキス対策を3つ見ていきます。
手作業での除去
まずおこないたいのが、手作業によるアニサキスの除去です。
アニサキスは、肉眼で確認できるサイズのため、目視で取り除きます。
ピンセットを使えば過度に身を崩さずに済み、ブラックライト(波長365mm)で光る種類のアニサキスであれば、より除去しやすくなります。
また、魚が新鮮な状態であれば、アニサキスは内臓に留まっている傾向があります。
そのため、新鮮なうちに魚の内臓を手早く取り除くことで、アニサキス症のリスクを下げることができるのです。
ただし、魚が新鮮な状態でも、腹腔を破って身の部分に移動している可能性があります。
アジやサバ、イワシ、サンマのように足が早い青魚は、身の部分への移動も早い傾向があるため、十分に注意しましょう。
なお、手作業での除去では見落としが考えられるため、手作業だけに頼るのは危険です。
確実に死滅させるには、後述の冷凍や加熱のいずれかを併せておこなうのがおすすめです。
参考:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
冷凍
アニサキス対策として、できる限りおこないたいのが、冷凍です。
アニサキスは、中心温度-20℃以下で24時間保存することで死滅します。
冷凍庫で1日保存するだけという手軽な対策のため、まずは冷凍処理を基本の対策として検討しましょう。
特に、未冷凍の魚介類を仕入れ、生で提供する店舗では、後述する加熱による対策ができません。
そのため、冷凍することが、唯一の確実なアニサキス対策になります。
魚の中心近くに寄生するアニサキスまで死滅させるために、中心温度-20℃以下に保ち、24時間の経過を待つのが安全です。
ただし、家庭用冷凍庫では、-20℃以下に設定できないことがあります。-20℃に設定できても、扉の開閉や周辺温度などによって±2℃程度の誤差が生じることから、確実なアニサキス対策は難しいといえます。
業務用冷凍庫であれば、-25℃に設定でき、上記の誤差が生じても十分なアニサキス対策が可能です。
そのため、必要に応じて、業務用冷凍庫の購入も検討しましょう。
より確実なアニサキス対策をおこないたい方には、ディープフリーザーやブラストチラー、液体急速凍結機の導入もおすすめです。
ディープフリーザーは、-60℃以下の超低温で、たんぱく質の酵素分解や脂肪の酸化を抑制するため、高価な魚介類の保管に向いています。
ブラストチラーは-40℃の冷風、液体急速凍結機は-35℃のエタノールを用いて、短時間で凍結可能です。
冷凍によるドリップが出づらく、食材のおいしさをキープしやすいという特徴があります。
いずれも-20℃以下で冷凍できるため、より確実なアニサキス対策につながります。
参考:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
加熱
アニサキス対策として、加熱可能な料理は、十分な加熱をおこなってください。
アニサキスは、中心温度60℃で1分以上の加熱、70℃以上であれば瞬間的に死滅します。
特に、未冷凍の魚介類を仕入れ、冷凍せずに加熱調理して提供する飲食店では、十分な温度で加熱することが求められます。
焼き魚や煮魚など、しっかり加熱する料理であれば、上述の温度に達しやすいはずです。
しかし、表面をバーナーで炙ったり、藁焼きにしたりする程度では、中心部分までは熱が通りません。
また、低温調理で、加熱温度が60℃を下回るようであれば、加熱は不十分となります。
そのため、中心部分まで熱が伝わっているか、加熱温度が十分かなどを考慮して調理方法を検討することが大切です。
手作業によるアニサキスの除去は確実ではなく、加熱調理できない魚介料理がある点を踏まえると、アニサキス対策として冷凍は必須といえます。
参考:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
アニサキス対策の注意点とは?

液体急速凍結機HLF-2A(右)
上記のアニサキス対策をおこなう上で、注意したいことがあります。
ここでは、主な注意点を2つ見ていきましょう。
冷凍が十分におこなえているか
アニサキス対策をおこなうときは、冷凍が十分におこなえているか注意しましょう。
下記の理由で、冷凍庫内の魚介類が上手く冷えないことがあります。
- 扉の開閉によって庫内温度が上昇している
- 食材の詰め込み過ぎ
- 熱源の近くに設置している、厨房の室温が高い
- メンテナンス不足で、庫内が冷えづらくなっている
基本的に業務用冷凍庫であれば、庫内温度を-20℃以下に設定できます。
しかし、扉を頻繁に開閉していれば、冷気が逃げ、なかなか魚介類の中心部が-20℃に達しません。
食材を詰め込み過ぎれば、冷気の伝達にも時間がかかってしまうでしょう。
業務用冷凍庫を熱源の近くに設置していたり、厨房の室温が高くなっていたりすると、庫内温度にも影響があります。
また、メンテナンス不足だと、エアフィルターに汚れや埃が詰まったり、冷風口を霜が覆ったりして、冷気が循環しづらくなることもあります。
アニサキス対策としては、あくまでも中心温度が-20℃以下の状態で24時間経過させる必要があるため、庫内温度や保管状態に注意が必要です。
加熱できない料理がある
料理によっては、魚介類を加熱できない点にも注意してください。
例えば刺身や寿司、カルパッチョやマリネなどは、魚介類を生で提供しなければなりません。
手作業によるアニサキスの除去や、冷凍によるアニサキスの死滅が徹底できていないと、アニサキス症のリスクを高めることを意味します。
特に手作業による除去では、身の奥に潜んだアニサキスにライトが届かず、除去が不十分なケースが考えられます。
アニサキスは塩や酢、わさびなどで死滅しないことから、実質的なアニサキス対策は冷凍しか選択肢がありません。
既に-20℃以下で24時間経過している魚介類を購入し、店舗で解凍して使うのであれば、リスクは下がります。
しかし、水揚げされたばかりの新鮮な魚介類を仕入れ、加熱せず提供するという場合は、より慎重な対応が求められます。
アニサキス対策をしながら品質劣化も防ぐ方法
上述の通り、確実性のあるアニサキス対策を目指すなら、冷凍は必須といえます。
そのために冷凍庫は欠かせない機器ですが、品質低下を心配する方もいるでしょう。
その場合は、鮮度を保持しながら冷凍できるブラストチラーやショックフリーザー、-35℃のエタノールで凍結させる液体凍結機がおすすめです。
しかし、品質低下を心配するなら、冷凍だけでなく解凍もこだわる必要があります。
いくら正しい方法で冷凍をしても、解凍方法次第では品質の低下につながります。
特に、冷蔵庫解凍は、低温で時間をかけて解凍することから、食材が-5~-1℃の温度帯に長く留まります。
長時間冷凍された食材の内部では、氷の結晶が大きく育ち細胞を破壊するため、栄養成分や旨味を含んだドリップ(液体)が流出しやすくなります。
また、ぬるま湯解凍は解凍時間が短い反面、食材の表面と内部で解凍具合が均一にならず、いわゆる解凍ムラが生じることがあります。
解凍ムラがあると、包丁で切りづらく、加熱時にも熱が食材に均一に通りづらいことから、食感や味にも影響を与えます。
さらに、ぬるま湯による急激な温度変化は細胞を傷つけやすく、ドリップが発生する原因にもなります。
そのため、冷凍だけでなく、解凍の工程にも注意を払うことが大切です。
ホシザキの真空マイクロ波解凍機で品質もキープ

アニサキス対策として必ず冷凍をおこなっているのであれば、品質対策として業務用解凍機を取り入れてみてください。
例えば、ホシザキの真空マイクロ波解凍機「HVM-8TA3-T」は、下記の特長を備えています。
品質を保って解凍できる
真空マイクロ波解凍機は、マイクロ波の照射と真空冷却を繰り返すことで、食材の品質を保ちます。
マイクロ波は、浸透する深さに限度はあるものの、食材の内部へ浸透する性質を持ちます。
食材の内部まで熱を与えられるため、食材の表面と内部で、解凍ムラを少なくすることが可能です。
また、マイクロ波の照射と交互におこなわれるのが、真空冷却です。
真空状態では、沸点が著しく下がり、低温でも水分が沸騰するようになります。
食材の水分が沸騰して気化する際、食材の熱を奪っていくため、マイクロ波の照射による温度上昇が緩やかになります。
急激に温度上昇しないため、食材の細胞が傷付きづらく、ドリップが出にくい仕組みです。
-5~-1℃の温度帯に長く留まらず、氷結晶が大きくなりづらいことも、ドリップを防ぎやすい理由として挙げられます。
解凍時間も短く、提供を早められる
真空マイクロ波解凍機は、解凍時間が短く済むことも特長です。
| 食材 | 解凍 重量 | 解凍 時間 | 解凍 レベル | 解凍前 温度 | 解凍後 芯温 | 解凍後 表面温度 |
| マグロ (赤身/さく) | 4.8kg (600g×8さく) | 約40分 | 標準 | -60℃ | -7.0℃ | -4.5℃ |
| マグロ (トロ/さく) | 1.2kg (200g×6さく) | 約10分 | 標準 | -25℃ | -4.6℃ | -0.2℃ |
| サーモン (生食用) | 2kg (1kg×2さく) | 約11分 | 標準 | -25℃ | -5.3℃ | -1.0℃ |
| 銀鮭 (加熱用) | 2kg (1kg×2さく) | 約11分 | 標準 | -25℃ | -9.6℃ | -3.6℃ |
| カツオたたき | 1.8kg (450g×4さく) | 約10分 | +2 | -25℃ | -7.2℃ | -0.2℃ |
| トロカツオ | 0.6kg (300g×2さく) | 約8分 | 標準 | -25℃ | -6.6℃ | -1.0℃ |
| しらす | 1kg (1kg×1箱) | 約20分 | +5 | -25℃ | -3.8℃ | -1.3℃ |
| ヒラメ | 0.5kg (170g×3切) | 約9分 | +5 | -25℃ | -1.8℃ | 1.3℃ |
| アジ | 0.5kg (85g×6切) | 約8分 | +5 | -25℃ | -1.9℃ | 0℃ |
| サバ | 0.5kg (250g×2切) | 約10分 | +7 | -25℃ | -2.8℃ | 0.1℃ |
| クジラ (ニタリ/赤身) | 0.6kg (200g×3切) | 約16分 | +9 | -25℃ | -1.9℃ | 1.1℃ |
解凍結果はホシザキ本社でおこなったものです。
お客様の食材の量、温度、品質により、解凍後の状態は変化しますので、あくまでも一例としてお考えください。
冷蔵庫解凍では、食材100gあたりの解凍に、6~8時間ほどかかります。
真空マイクロ波解凍機であれば、解凍前温度-60℃のマグロ(赤身/さく)でも、約40分で解凍可能です。
一方、35~40℃のぬるま湯を使用したぬるま湯解凍では、食材100gあたり3~4分ほどで解凍できます。
しかし、熟練の作業者でなければ解凍タイミングの見極めが難しいため、他の作業と並行しておこなうことが難しい点がデメリットです。
真空マイクロ波解凍機であれば、食材を入れ、簡単な設定を済ませてスタートを押すだけです。
誰でも簡単に解凍でき、解凍を解凍機に任せて別の作業に当たれるため、その点もメリットといえます。
アニサキス対策と品質劣化対策で、安全とおいしさの両立を

この記事では、アニサキス対策が必要な理由や、アニサキス症の予防・対策方法と注意点、併せておこないたい品質劣化対策についてご紹介しました。
アニサキスは、海産の魚介類に広く寄生しており、アニサキス症のリスクを下げるためには対策が欠かせません。
手作業での除去や、温度を守った冷凍や加熱などの対策を徹底しておこない、安全に魚介類を提供しましょう。
また、安全性だけでなく、解凍した魚介類の品質にもこだわりたいときは、業務用解凍機の導入もぜひご検討ください。
高品質な解凍と時短を叶えられることから、ホシザキの真空マイクロ波解凍機がおすすめです。
真空マイクロ波解凍機は、全国のホシザキ販売会社テストキッチンで試すことができますので、ぜひお試しいただき、品質の違いをご体感ください。
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