キューブの食べ歩きニッポン[北陸の巻]ウマイぞ!!石川 発酵の幸がぎっしり!!

波がドンと来りゃあ~おサカナ来~る~よ♪いやはや、波が荒くて泳ぐのたいへんだったよ。
今日は石川県から、ご当地フード「発酵食」を紹介します。

発酵と言えば石川!?

 「お~い、今日は大漁だぞ!」海でどっさり魚がとれたなら、とりあえず冷蔵庫へ入れるでしょ?でも冷蔵庫がなかった時代は、みんな保存に苦労していたんだ。魚を干物にしたり、塩漬けにしたり…そうした中で生まれたのが発酵食だ。ヌカや麹の中に魚を漬け込むことで、保存がきき、菌のはたらきでおいしさも倍増するよ。発酵食は全国にいろいろあるけど、中でもさかんなのが石川県。ブリをカブラにはさんだ「かぶらずし」や「ヘシコ」と呼ばれるイワシのヌカ漬け、アジやサバの「なれずし」に「こんか漬け」、さらに能登の魚醤「いしり」など、いろんな発酵食があるよ!

  • カブにブリの切り身をはさんで漬け込んだのが「かぶらずし」、大根にニシンをはさんで漬けたのが「だいこんずし」。どちらも発酵食ならではのコクがあっておいしいよ。
  • サバのヌカ漬け(こんか漬け)をつくっているところ。ひとつひとつが手作業だ。
  • 北陸は北前船の寄港地だったことから、航海の途中で食べたり、冬の保存食として重宝されたらしい。その代表が「こんか漬け」だ。こんかは小ヌカ、フグやサバ、イワシなどいろんな魚をヌカ漬けにすることでウマミが凝縮、ヌカの香ばしさがついてウマい!
  • こんかイワシが入ったうどんも美味!
    パスタやサラダに入れてもイケるよ。

最初に食べた昔の人はエライ!

 その中でも注目が、「ふぐの卵巣のヌカ漬け」だ。猛毒をもったフグの卵巣を塩漬けにして、約3年ほど熟成させたもの。材料はもっぱらゴマフグだけど、卵巣には猛毒が含まれている。これを最初は塩で1年漬け込む。さらにヌカでもう1年漬け込むことで毒がヌケるんだ。でも、どうして?
 美川で「あら与」の社長に聞いてみた。「塩漬けで卵巣内の水分といっしょに毒が抜け、その後の1年はヌカの中にいる乳酸菌が毒を分解するんじゃないかと言われています」。
 理由はまだ科学的にはっきり解明されたワケではないけど、出荷時にはキビしい毒性検査を受けているから安心して食べられるんだ。
 食べてみると、最初はちょっとしょっぱいけど、なんともいえない深~いコクが口の中に広がって、ごはんやお茶漬けにぴったりだ。もちろんお酒にもあうよ。江戸時代から食べられているらしいけど、最初に食べた人はホントにエラい!

漬け込んで1年くらいのフグの卵巣。これから麹に漬け込む。

発酵食のエキスパート
「あら与」の荒木社長。

検査済みの証明「石川県ふぐ加工協会」の認定シールがはられているから安心。しかも840円とお値打ちだ(ふぐの子ぬか漬け)

●取材協力 : あら与
石川県白山市美川北町ル-61(本店)
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