まるで相手をじらすように、
MFシオコウジがバラ肉ボールを前後左右に散らした。
ゆっくり寝かせるようなドリブルの後、
大きなサイドチェンジでウィングのミリンへ。
照りばえのするトラップでオープンスペースに流す。
FWミソが隠し味をきかせたパスを再びシオコウジへ。
バックから大きく前方に回り込んでいた
キーパーコメズへショートパスを繰り出した。
仕上げのひとふりを受けたボールを
受けて、ショウユの本仕込みシュートだ!
うま味がほとばしるパワープレイが炸裂(さくれつ)した。
メンバー全員が兄弟!?
日本の食卓はコージ軍団に支えられている。メンバーそれぞれ、素材や産地は異なるものの、育ての親は「麹菌(こうじきん)」だ。しょうゆとみそは大豆などの穀物に麹が加わることで育った。みりんはモチ米に麹、そこにアルコールで一人前に。日本酒は米と黄麹、酵母が原料だ。塩麹・しょうゆ麹はその名の通り、麹に塩やしょうゆを混ぜてつくられる。カツオブシは麹菌の仲間がカツオブシの奥に入り込み、水分を外へ放出することでうま味が熟成されていく。泡盛は米と沖縄の黒麹、酵母が原料。麹漬けは麹のヌカ床で野菜や魚をじっくりうま味を引き出す。なっとうは大豆になっとう菌を加えることでつくられた。最近では腸のはたらきを整える作用で脚光を浴びている。そしてキーパーの米酢はまろやかさが持ち味。日本酒を酢酸発酵させたものだ。つまり、メンバー全員の母親が麹菌なのだ。
パワーの秘密は酵素力
麹イレブンを語るうえで欠かせないのが麹菌の中に含まれる酵素パワーだ。代表的なものとしては、素材の持つタンパク質をうま味成分アミノ酸に変える「プロテアーゼ」、脂肪を分解する「リパーゼ」、そしてデンプンを糖分に変える「アミラーゼ」がある。日本酒や焼酎、泡盛などはこのアミラーゼがつくった糖分を元に酵母がアルコールをつくっていくのだ。これ以外にも麹菌には百種類を超える酵素を持つと言われている。こうした酵素の中にはカラダにいいヒミツ成分がいろいろ含まれているのだが、いまだその全貌(ぜんぼう)はナゾに包まれている。
これがコージ軍団のマザー「麹菌」だ!麹菌の持つ酵素がタンパク質やデンプンを分解することで、ミソやしょうゆが生まれる。(提供:独立行政法人 農研機構食品総合研究所)
コンビプレーで猛進撃!
鍋物や煮物のニオイをかいでお腹がグゥーッとなったことはないだろうか?あれこそ麹イレブンのコンビネーションプレーだ。組み合わさることでうま味はもちろん、ニオイパワーも倍加する。たとえばしょうゆにみりん、日本酒のトライアングルで煮物のうま味をとことんまで引き出すワザ、ミソにカツオブシとチーム外のコンブが加わればうま味たっぷりのミソ汁に。なっとうにカツオブシをかけてしょうゆをひとたらしすれば黄金のおかかなっとうトリオが完成する。発酵食品の相乗効果はうま味はもちろん、健康面でも期待が持てる。日本の伝統食を支えるコージ軍団を食卓の上から、朝昼晩と応援しよう。
緊急発表!!シイタケも代表チーム入り?
素材は太鼓判のシイタケがコージ軍団に参入することになった。その理由は「同じ菌だからネ」。たしかにキノコは菌類、菌という点では同じだが、コージ軍団は麹菌だけで構成されている。その点については「関係ないね。オレはショウユやニホンシュとも一晩練習すれば大丈夫。ゴール前のパワープレーではうま味成分・グルタミン酸を大放出したい」と抱負を語った。