寒い=暑い?灼熱のガンピリ対決

ガンガンホットな料理の国と言えば、北は韓国、南のタイ。
事実、どちらの国もトウガラシの一人当たりの消費量は世界トップクラスだ。
どうしてそんなに使うのか?本場のシェフに直撃インタビューで迫った。

どうしてそんなに辛くするの?
韓国料理店のオモニに聞いた

それは寒いからだ。辛いとあったまるよ

 「名家(ミョンガ)」は韓国出身のオモニ(お母さん)が腕をふるうお店だ。「味は本場のままだから辛いよ!手加減なしよ」と言われピリピリおびえて待っていると「韓国タコの鉄板焼き」が登場。火を通す前はちょっぴり赤いだけ。なあんだと安心した途端、みるみる鉄板が真っ赤に染まる。ヒィ~ッ、辛いっ!全身がふつふつ煮えたぎるようだ。「韓国は寒いから、辛い料理を食べてカラダをあっためるの。小さいころからずっとトウガラシと一緒よ!」と語るオモニ。なるほど、トウガラシに含まれるカプサイシンは、血行を促してカラダを温める働きがある。真っ赤な一皿は、北国ならではのあったまり方なのだ。


秘伝のタレには韓国から仕入れた最高級のトウガラシを使用。韓国タコのうま味は、一度食べたらやみつきに!「韓国タコの鉄板焼き」(3~4人分程度/税込3,650円)


韓国家庭料理「名家(ミョンガ)」日本人と結婚した春川出身のオモニ、藤川玉子さんが営むアットホームな韓国料理店。海鮮を使った料理が人気で、魚介類や調味料は韓国から取り寄せて本場の味を再現している
●東京都新宿区大久保1-5-13 櫻井ビルB1 ●TEL:03-5287-6463
●営業時間 11:00〜23:30 (L.O. 23:00) ●定休日 第1月曜日。http://www.oishii-meika.jp/

ウマ辛の秘密は
「ヤンニョム」にあり!

 韓国では薬味や香辛料のことを「ヤンニョム(薬念)」と呼んでいる。食べるものが薬になるという薬食同源の精神を取り入れた韓国料理の基本だ。それら香辛料を合わせたタレは「ヤンニョムジャン」と言い、各家庭にその味が伝えられている。「韓国タコの鉄板焼き」にも自然乾燥させたトウガラシにニンニク、ゴマ油などを調合した秘伝の辛いタレが使われている。辛さの中には、オモニが受け継いできた家庭の味がつまっているのだ。

どうしてそんなに辛くするの?
タイ料理のシェフに聞いた

それは暑いからだ。辛いと涼しくなるよ

 タイの「ピッチーファー」も負けてはいない。「タイ人は料理が辛くないとなんだか物足りないの」と話すのは笑顔が素敵なシェフのラオターさん。ウマ辛でイチ押しのカレーが「ゲーンパーガイ」だ。「ちょうどいい辛さにしておいたから」という優しい言葉につられて食べると…。ひえーっ、舌がシビレる!汗がふき出る。その笑顔とウラハラに、とんでもない鬼辛料理を出してくれたものだ。「辛さをやわらげるココナッツミルクが入っていないから、とっても辛いの。でも、食べたあとは涼しくてさわやかでしょ?」確かに汗をかいたあとはスッキリ。汗の水分が気化するとき熱を奪い、カラダを涼しくする効果があるようだ。年中暑いタイではこの辛さパワーで涼しさを演出しているのだ。


野菜がたっぷり入った「森のカレー」を意味する「ゲーンパーガイ」(税込1,365円)。トウガラシペーストに加え、ショガウなどの辛みのあるハーブをふんだんに使った一品。


タイレストラン「ピッチーファー」店名の「ピッチーファー」とはトウガラシのこと。シェフは全員タイ人で、数少ないタイ政府公認レストラン。土・日・祝日限定のビュッフェは通常のメニューにないユニークな料理が楽しめることで人気だ。
●東京都新宿区西新宿1-4-5 明広ビル5F ●TEL:03-5326-8588
●営業時間 ランチ 11:00~15:00(L.O. 14:30) ディナー 17:00~
23:00(L.O. 22:30) 土・日・祝 11:00~15:00(食べ放題)
●定休日 無休http://www.plikcheefah.com/

疲れも吹き飛ぶ、
トウガラシ×ハーブ効果

 タイ料理はトムヤムクンに代表されるように、辛みだけでなく、酸味と甘みのハーモニーで独特のおいしさを表現している。そんなタイ料理の食材で欠かせないのがトウガラシに加え、パクチーやレモングラスなどのハーブだ。ハーブは香りづけはもちろん、消化促進や解毒作用などさまざまな効果を持つ。ハーブを豊富に使った150種類以上のタイ料理がそろう「ピッチ―ファー」は、元気になりたいときに行く「いやしスポット」でもあるのだ。