一打サヨナラのドキドキ
激辛ファンは「そう、辛さは痛い。でも食べるときのスリルがたまらん」と語る。食べ物にスリルを感じるなんてヘンだと思うかもしれないが、これは科学的にも証明されている。トウガラシを食べると「アドレナリン」という物質が体内に分泌されるのだ。このアドレナリン、血糖値を高め、心臓をドキドキさせることでカラダを攻撃モードに変える効果がある。応援するチームが九回裏ツーアウト満塁のドキドキ感、あれがアドレナリンの働きである。トウガラシにも同様の効果があったのだ。また、「食べた後はスカッと気分が良くなる」という人もいるが、これはトウガラシに反応して、体内から「エンドルフィン」という、痛みをやわらげる物質が出るせいだと言われる。つまり辛いものを食べた人は興奮したり、さわやかな気分になったりして、たちまち辛いものファンになる、というわけだ。
イテテ、痛くておいしい!?
味の好みは人それぞれだ。甘いものに目がない人もいれば、シブ~い緑茶ファンや苦いビール党もいる。なにが好きかはまちまちだが、食べ物の味を感じるのは「味覚」だ。人間が感じる味は大きく「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」に分けられる。じゃあ「辛い」という味覚はどこで感じるのだろう?トウガラシを食べたときに口に出るのは「辛い!」だけど、実際に感じるのは「痛い!」に近い感覚だ。他の味と辛さはちょっと違う。辛いものには味覚ではなく、「痛覚」が反応していた。つまり「辛くておいしい」は「痛くておいしい」だったのだ。
ウエイトをしぼるならコレ!?
ここまででもトウガラシはヒーローの魅力十分だが、さらに食べ過ぎ予防効果もあるという。実験で、ランチにトウガラシを入れたものと入れないものを出したら、トウガラシ入りランチを食べた人の方が普通のランチを食べた人よりも少食だった、というデータがある。その後のおやつの量も、トウガラシ入りランチを食べた人の方が少なく、食欲を抑える効果があったことが報告されている。トウガラシは食べ過ぎ予防に効きめがありそうだ。カラダの消費エネルギーを高める効果があることもわかっている。ウエイトが気になったら料理にトウガラシを入れ、食後にトレーニングするというのが効きめありそうだ。