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知識・ノウハウ

厨房機器メーカーが伝授!マグロのおいしい解凍方法。解凍のポイントやNGまで解説

2025.11.17
  • マグロ
  • 解凍方法
  • 真空マイクロ波解凍機

マグロをおいしく提供したいと思う、飲食店やスーパーの方は多いのではないでしょうか。
マグロを好きな消費者は多く、味の良し悪しは、飲食店やスーパーの評価につながることがあります
そのカギを握っているのが、マグロの解凍方法です。
この記事では、マグロの主な解凍方法や解凍のポイント、NGな解凍方法など、解凍について詳しくご紹介します。

マグロは解凍次第で台無しに

マグロは繊細な食材のため、解凍方法を間違えると、下記の通り台無しになってしまいます
 

  • 身の色味が悪くなる
  • 食感がパサついたり、水っぽくなったりする
  • 生臭さが強くなる
  • ドリップが出て風味が損なわれる

ドリップとは、マグロの旨味や甘み、栄養成分などを含んだ液体です。
ドリップが出た分だけ風味や食感が損なわれるため、良いマグロであるほど、流出は避けたいものといえます。
これらの状態を避けるため、マグロの解凍は適切な方法で、ポイントを押さえておこなう必要があります。

マグロの解凍のポイント

マグロをおいしく解凍するためのポイントは、下記の3つです。

解凍ムラを防ぐ

マグロの解凍のポイントは、まず解凍ムラを防ぐことです。
解凍ムラは、マグロ表面と内部で、熱の伝わり方に差があるために生じます。
空気や水、氷水などに接する表面は解凍が早いですが、接していない内部は解凍が遅いため、解凍具合に差が生まれることがあります。

マグロの表面だけが解凍され柔らかく、内部は凍っているという状態は、食事に適しません
口に入れたマグロはシャリシャリとして、食感が悪いためです。
また、包丁の刃が均一に入りにくいため、解凍が進んだ部分の切り口が潰れることもあります。
切り口が潰れると見た目や厚みにもばらつきが生じ、食感がさらに悪くなります。
解凍ムラを防ぐためには、解凍にかかる時間を把握し、提供の時間から逆算して解凍作業を開始するのがベストです。
 

ドリップを防ぐ

ドリップが出ないようにマグロを解凍することも大切です。
ドリップは、マグロの旨味や栄養成分を含んだ液体です。
その流出が、風味や食感などに大きく影響します。

ドリップは、主に温度変化などで食材がダメージを受けたときに出るため、マグロをいかに優しく解凍するかが重要です。
具体的には、急激に温めて解凍することは避けます。
また、氷結晶が大きくなって細胞を傷つけないように、-5℃~-1℃までの温度帯で長く解凍するのも避けると良いでしょう。
氷結晶とは、水分の凍結時や再凍結時などに生じる、氷の結晶のことです。
水分は固形になる際に膨張する性質があり、食材内部で氷結晶が大きく育つほど、細胞が破壊されてしまいます。
-5℃~-1℃の温度帯で長く解凍すると、再凍結によって氷結晶が育ちやすく、ドリップの原因になってしまいます。
 

ドリップが出たら拭き取る

解凍時、マグロからドリップが出ている場合は、手早く拭き取ってください
ドリップには、生臭さの元になるトリメチルアミンという物質が含まれているためです。
トリメチルアミンは揮発性が高いため、マグロから出たドリップをそのままにしておくと、マグロ全体に生臭さが移ってしまいます。

ドリップは、マグロの見た目や食感を損ねる原因にもなり得ます
ドリップをそのままにしておくと、マグロの新鮮さが損なわれているような見た目になり、口に入れたときに水っぽい食感になるためです。
解凍時に出たドリップは気付いた段階で取り除き、冷蔵庫で解凍をする場合も、キッチンペーパーで包み、ドリップを吸わせるといった工夫が必要です。

マグロの主な解凍方法

ここでは、マグロの主な解凍方法を3つ見ていきましょう。
それぞれの手順やメリット、デメリットについてご紹介します。

氷水解凍

氷水解凍は、氷水に浸して解凍する方法で、主な手順は下記の通りです。

1.海水ほどの濃度の「塩水」を作る
 (水1Lに塩30gが目安)
2.塩水でマグロ表面を数秒洗う
3.マグロ表面の水分をキッチンペーパーで拭き取る
4.マグロをパックやビニール袋に入れ、空気を抜いて密閉する
 (氷水が入らないようにしっかり密閉) 
5.ボウルやバットなどの器に氷水を張り、パックやビニール袋に入れたマグロを沈める
6.0℃前後を保つため、氷が溶けたら足し、解凍されるまで待つ
 (マグロ赤身さく200gであれば、約1〜1.5 時間が目安)
7.マグロをパックや袋から取り出し、表面をキッチンペーパーで拭き取る
 

・メリット
氷水解凍のメリットは、簡単かつ高品質に解凍できることです。
特別な技術や道具を必要とせず、味や食感、色味の変化などを抑えながら解凍できます。

・デメリット
氷水解凍のデメリットは、時間と手間がかかることです。
マグロ赤身さく200gでも約1〜1.5 時間かかり、塩水の用意や氷の継ぎ足しなど、手間がかかります。
また、温塩水解凍や解凍機解凍に比べると、均一な解凍が難しく、十分な品質とはいえないことがあります。
 

温塩水解凍

温塩水解凍は、ぬるま湯の塩水(温塩水)を使う昔ながらの解凍方法で、主な手順は下記の通りです。

1.40℃程度のお湯を海水ほどの濃度に調節し、「温塩水」を作る 
 (水1Lに塩30gが目安)
2.流水で数秒洗い、温塩水にマグロを30秒~5分程度浸す
 (マグロ100~200gなら30秒~2分、マグロ200~500gなら4~5分目安。
 ※マグロ表面が柔らかく、少し曲げて内部に半解凍の芯が感じられる程度)
3.マグロ表面の水分をキッチンペーパーで拭き取る
4.キッチンペーパーとラップで包み、皿やバットなどに入れて冷蔵庫で解凍する
 (マグロ赤身さく200gであれば、約20〜40分が目安)
5.水道水でマグロ表面を軽く洗う
6.マグロ表面をキッチンペーパーで拭き取る
 

・メリット
温塩水解凍のメリットは、氷水解凍よりも短時間で高品質な解凍ができることです。
40℃程度の温塩水に浸すことで、マグロ表面の解凍を早めながら、塩分の浸透圧によってドリップが出にくくなり、おいしさが損なわれるのを防ぐことができます。
その後は冷蔵庫解凍に移ってマグロの表面を冷却しつつ解凍するため、表面と内部に解凍ムラができにくいこともメリットです。

・デメリット
温塩水解凍のデメリットは、温塩水を作る手間がかかることです。
また、温塩水に浸す時間が長いと解凍が進み過ぎてしまうため、解凍時間はマグロの大きさに応じて調節する必要もあります。
 

解凍機解凍

解凍機解凍は、解凍に特化した厨房機器の解凍機を用いて解凍する方法です。
解凍機によって違いがありますが、ホシザキの真空マイクロ波解凍機を例にすると、主な手順は下記の通りです。

1.マグロを解凍機に収納し、扉を閉める
2.マグロの重量を設定
3.解凍レベルを設定
 (マグロ赤身さくは「標準」、マグロ赤身ブロックは「+3」)
4.スタートボタンを押して、解凍運転を開始
5.解凍完了後、マグロを取り出す
 (マグロ赤身さく1kgであれば、約20分が目安)
6.マグロ表面をキッチンペーパーで拭き取る
 

・メリット
真空マイクロ波解凍機のメリットは、他の解凍方法に比べ、短時間で誰でも同じ品質の解凍ができることです。
誰が扱っても同じ品質を保てるため、熟練の作業者が解凍する必要はありません。
マイクロ波加熱と真空冷却を用いてマグロ表面と内側の解凍ムラを少なく解凍することで、食材の細胞を壊さず、マグロへのダメージを抑えられるためドリップも出にくいなど、高品質な解凍ができることも大きなメリットといえます。
加えて、マグロの解凍中は別の作業に注力できるため、作業効率の向上や、人手不足の解消にも役立ちます。

・デメリット
真空マイクロ波解凍機のデメリットは、解凍機は設置するためにスペースが必要なことです。
また、機器の購入コストがかかるため、その点もデメリットと感じる方もいるかもしれません。

NGなマグロの解凍方法

マグロを解凍する方法の中でも、特にNGな解凍方法を3種類見ていきましょう。

常温解凍

NGな解凍方法の1つ目は、常温解凍です。
常温解凍とは、マグロを常温で解凍することです。
常温の環境下ではマグロの内外で菌が繁殖しやすく、食中毒のリスクが上がるため、良い解凍方法とはいえません
また、マグロを常温で放置すると身が傷み、酸化が進んでおいしさが損なわれます。
酸化が進んで風味や食感などが悪くなり、生臭さの元になるトリメチルアミンを含んだドリップが出やすくなります。
さらに、マグロ表面だけ解凍が進んでしまうため、解凍ムラが生まれやすい点もネックです。
 

流水解凍

NGな解凍方法の2つ目は、流水解凍です。
流水解凍とは、ボウルやバットにパックやビニール袋に入れたマグロを入れ、流水で解凍する方法です。
流水によって熱が絶えず加わるため、解凍は20~30分程度で終わります。
しかし、水がかかる表面の部分だけ解凍が進むため、解凍ムラができがちです。
また、急激な温度変化によってマグロの身が縮まり、ドリップも出やすくなります。
水温が夏場と冬場で一定ではないため、安定した品質での解凍が難しくなります。
 

冷蔵庫解凍

NGな解凍方法の3つ目は、冷蔵庫解凍です。
冷蔵庫解凍とは、一度流水でマグロ表面を洗い流したのち、冷蔵庫内で解凍する方法です。
低温で解凍するため、マグロ表面と内部で解凍ムラが生まれにくく、ほとんど手間もかからないというメリットがあります。
しかし、冷蔵庫解凍は、低温で時間をかけて解凍する緩慢解凍のため、再凍結のリスクがあります
再凍結により氷結晶が育つと、細胞が破壊されるため、ドリップが出やすい傾向があります。

さらに、緩慢解凍では、「メト化」によってマグロの色味が褐色になるリスクも上がります
メト化とは、色素タンパク質のミオグロビンが酸化し、メトミオグロビンに変化する現象のことです。
冷蔵庫解凍では、メト化が進みやすい-10~0℃の温度帯を長時間通過するため、冷蔵庫の設定温度によってはマグロの色味が悪くなることがあります。
また、マグロさく100~200gでも3~4時間と、解凍に時間を要するため、解凍時間を把握していないと、提供に間に合わないことが考えられます。

おいしく解凍したいなら真空マイクロ波解凍機がおすすめ

マグロをおいしく解凍したい方には、ホシザキの真空マイクロ波解凍機「HVM-8TA3-T」がおすすめです。
ホシザキの真空マイクロ波解凍機は、マイクロ波加熱と真空冷却を併用する業界唯一の解凍機(※)で、高品質かつ短時間で解凍できることが特長です。

電子レンジで知られる通り、マイクロ波は食材の内部にまで浸透し、水分子を振動させることで解凍をおこないます。
一方で真空冷却は、解凍機内部を減圧し、沸点を低下させるものです。
沸点が低下すると、氷や霜などの固体には、液体にならずに直接気体に変化する昇華現象が起こります。
結果として、氷や霜などが熱を吸収しながら気体になるため、食材の表面が冷却されます。
真空マイクロ波解凍機は、これらのマイクロ波加熱と真空冷却を交互におこなうことにより、均一かつ高品質な解凍を実現しています

誰が解凍しても同じ仕上がりにできるため、熟練の解凍技術は必要ありません。
また、機器に任せて他の作業ができることから、作業効率の向上や人手不足の解消など、飲食店やスーパーで抱えがちな問題にもアプローチ可能です。
温塩水解凍では、切付け可能な状態になるまで約2時間かかるマグロ赤身のブロック(5kg)も、真空マイクロ波解凍機であれば、約40分で解凍可能です。
短時間で解凍できるため、あらかじめ大量のマグロを解凍しておく必要はなく、販売量に応じて必要な量だけ解凍することができます。
フードロスを削減しながら、マグロの販売機会を逃すことも防げます。
マグロをおいしく、短時間で解凍したいという方には、真空マイクロ波解凍機がおすすめです。

ホシザキの真空マイクロ波解凍機について詳しくは、こちらから

2025年5月13日現在、ホシザキ調べ

まとめ

この記事では、マグロの主な解凍方法と、マグロ解凍のコツ、NGな解凍方法など、マグロの解凍についてご紹介しました。
マグロは繊細な魚なので、解凍方法次第では、味や食感、色合いが台無しになってしまいます
そのため、解凍方法についての知識を深め、ポイントを押さえて適した解凍をすることが大切です。
マグロのおいしさを保ったまま短時間で解凍できることから、マグロの解凍方法の中では解凍機解凍がおすすめです。
ホシザキの真空マイクロ波解凍機は、全国のホシザキ販売会社テストキッチンで試すことができます。

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