アイスランド発!猛臭シャーク伝説!

「1メートル以上近づくと鼻が曲がるよ」
「ニオイがスゴイから人のいないところでつくって
るんだ」と、現地ではそんなウワサが飛び交う。
その実態は?伝説のベールが今、とき明かされる。

バイキング秘伝の保存食だ

 ハウカットルはアイスランドのサメ肉を常温発酵させたものだ。サメは体内に尿素をたくわえているから、日がたつとこの尿素がアンモニアに変わり、ものすごいニオイをはなつ。一般のサメ料理は流水でさらすことでこの尿素を抜くのだが、ハウカットルはもっとワイルドだ。ニオイを抜かずにそのまま数ヶ月発酵させてしまう!  はじまりは9世紀ごろアイスランドに移住したバイキングの食べものだったらしい。アンモニアのせいで山の中へ運んでも腐敗することがないことから、保存食として利用されたのだ。


  • サメ肉を発酵させる工程。
    ニシオンデンザメ(グリーンランド・シャーク)
    がもっぱら使われる。

  • ハンパじゃないニオイの
    ためか、発酵場は
    人里はなれた郊外にある。

クセになるかも!

 「なんだ、このニオイは?」今まで一度もかいだことのないニオイ…でも待てよ、日が経ったイカのニオイに似てなくもない。思ったよりはアンモニア臭が薄い。現地のスーパーで買ってきてもらった真空パックを開けたときの印象だ。ニオイに瞬発力こそないが、モワモワあたりに漂いはじめる。勇気をふるって食べてみると、カマボコとゴムの間みたいな食感だ。食べた後は口の中にニオイが充満するから、アイスランドの人は地酒をあおって口中をスッキリさせるのだという。二度三度食べてみると、なんだかクセになりそうな気配。アイスランドでは「日本のおせちみたいなもので、昔の文化を忘れないようにときどき食べる」というハウカットル。地元でもめったに食べる機会はないというが、世界の猛臭料理としてランキング入りするのはまちがいない。

ブレニヴィン ゲンブツ ハウカットル・セット
ハウカットルといっしょに飲むとされるブレニヴィン。アイスランドのウォッカとも言われる、つよ~い飲み物だ。 ゲンブツはこんなふうに真空パックの状態で手に入った。このままではさすがに臭わない。 現地レストランのハウカットル・セット。最近はニオイのせいでメニューとして出してないお店も多いとか。料理としては黒パンにはさんで食べる。

協力・アイスランド航空