ついに真相発覚!辛さの秘密わかったぞ!!

Mr.HOT(ミスター・ホット)

出身は中南米のようだが、日本に帰化した「タカノツメ」や「伏見トウガラシ」なども同じチーム。 ハバネロやブート・ジョロキア、ハラペーニョなどの強力クリーンナップで激辛打線を構成する。

Mr.HOTを甘くみると大変なことになる。「たいして辛くないや」とぱっくり食べた
その後は、口の中でバットがうなる、燃え上がる。「アチチチチッ」とコップの水に
救援を求めても、火消し役にはならない。たちまちカラダ中が
熱くてたまらなくなる。これだけの辛口バッターにもかかわらず、いっこうに
コリないのが激辛ファンの心理だ。ちまたではMr.HOTことトウガラシが
大ブレイク。コンビニやスーパーでは辛口ポテトチップやチリ・ラーメン、
激辛マークにハバネロ入りと、トウガラシ人気は赤丸急上昇だ。
なぜこれほどまでにファンは熱狂するのか?

一打サヨナラのドキドキ

 激辛ファンは「そう、辛さは痛い。でも食べるときのスリルがたまらん」と語る。食べ物にスリルを感じるなんてヘンだと思うかもしれないが、これは科学的にも証明されている。トウガラシを食べると「アドレナリン」という物質が体内に分泌されるのだ。このアドレナリン、血糖値を高め、心臓をドキドキさせることでカラダを攻撃モードに変える効果がある。応援するチームが九回裏ツーアウト満塁のドキドキ感、あれがアドレナリンの働きである。トウガラシにも同様の効果があったのだ。また、「食べた後はスカッと気分が良くなる」という人もいるが、これはトウガラシに反応して、体内から「エンドルフィン」という、痛みをやわらげる物質が出るせいだと言われる。つまり辛いものを食べた人は興奮したり、さわやかな気分になったりして、たちまち辛いものファンになる、というわけだ。

イテテ、痛くておいしい!?

 味の好みは人それぞれだ。甘いものに目がない人もいれば、シブ~い緑茶ファンや苦いビール党もいる。なにが好きかはまちまちだが、食べ物の味を感じるのは「味覚」だ。人間が感じる味は大きく「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」に分けられる。じゃあ「辛い」という味覚はどこで感じるのだろう?トウガラシを食べたときに口に出るのは「辛い!」だけど、実際に感じるのは「痛い!」に近い感覚だ。他の味と辛さはちょっと違う。辛いものには味覚ではなく、「痛覚」が反応していた。つまり「辛くておいしい」は「痛くておいしい」だったのだ。

ウエイトをしぼるならコレ!?

 ここまででもトウガラシはヒーローの魅力十分だが、さらに食べ過ぎ予防効果もあるという。実験で、ランチにトウガラシを入れたものと入れないものを出したら、トウガラシ入りランチを食べた人の方が普通のランチを食べた人よりも少食だった、というデータがある。その後のおやつの量も、トウガラシ入りランチを食べた人の方が少なく、食欲を抑える効果があったことが報告されている。トウガラシは食べ過ぎ予防に効きめがありそうだ。カラダの消費エネルギーを高める効果があることもわかっている。ウエイトが気になったら料理にトウガラシを入れ、食後にトレーニングするというのが効きめありそうだ。

助っ人エンドルフィンついに放出か?

エンドルフィン(痛みをやわらげる物質) ケガしたり、痛みを感じたときには脳から痛みをしずめる助っ人(エンドルフィン)が現れる。トウガラシなどの辛いものをおいしいと感じたり、また食べたくなったりするのはこの助っ人の働きによるもの。逆にこの助っ人の気持ちよさに期待してついついピンチ(=辛いものを食べる)を招いてしまうのが辛いものファンならではの心理と言えるだろう。

フザリンは宿命のライバル

攻撃は最大の防御。トウガラシの場合、フザリウムという宿敵の菌がいるからより辛くなって攻撃力が増すんや。フザリウムに感染するとトウガラシは枯れてしまう。そこで、トウガラシは辛さのもとであるカプサイシンを放出して守備力を高めるんやね。水分が好きなフザリウムに対向するため、湿った畑の方がトウガラシの辛さは強まる、という実験結果も出ているくらいやからな。